人手不足や時間外労働の規制という
大きな課題である「2024年問題」に
建設業界も直面しています。
このような状況の中、
清水建設と大林組が技術革新により、
これらの課題に対応しています。
清水建設は、3Dプリンターを用いた
建設技術を開発しました。
この技術では、鉄筋を格子状に組み立てた後、
3Dプリンターでモルタル材料を吹き付けています。
従来の方法に比べて作業時間を7分の1に短縮し、
1週間かかる作業を1日で完了させることが可能に
なりました。
この進歩は、労働時間の削減だけでなく、
環境への配慮にも繋がります。
型枠を廃棄する必要がなくなるため、
廃棄物の減少にも寄与します。
2024年度中には、この技術を
国内の建築現場に導入する予定であり、
柱やはりなどの構造部材の試作品では、
従来手法で作った製品と同等以上の強度を
確認しています。
一方、大林組は、
高所作業の一部を自動化するロボットを
開発しました。
このロボットは、耐火被覆材の人工繊維
「ロックウール」をビルのはりに均一に
吹き付けることができます。
従来は5人が必要だった作業を
3人で済ませることができ、
施工時間は変わらず、作業の効率化を
実現しました。
2024年度には、
はりの位置や形状を計測する機能を
追加する計画です。
総務省によると、
建設業で型枠工事や吹き付け工事などに従事する
建設技能者は過去10年で9%減少しており、
人手不足は深刻化しています。
さらに、時間外労働の上限規制により、
新築やインフラ更新、災害対応といった
建設需要が高まる中で、労働生産性の向上が
喫緊の課題となっています。
労務費の上昇も大きな問題です。
東京都内の型枠工事の場合、
公共工事の設計労務単価は過去10年で36%上昇し、
コスト増加の圧力がかかっています。
しかし、清水建設と大林組のような
技術革新により工期短縮や効率化が進むことで
これらのコスト増を相殺し、さらには超える利益を
生み出す可能性があります。
ロボットの導入には初期投資が必要ですが、
長期的に見れば、労働力不足の解消や
労働生産性の向上により、
建設業界全体の競争力を高めることが期待されます。
世界の建設ロボット市場は、
2024年から2029年にかけて2倍に拡大し、
約1100億円に達する見通しだといわれています。
これは、建設業界における技術革新が、
世界的なトレンドとなっていることを示しています。
さらに、企業間での技術協力も活発化しており、
施工ロボットや遠隔操縦技術などの共有を掲げる
コンソーシアムが発足。
200社以上が参加し、アシストスーツや
資材搬送ロボットなどの実用化に取り組んでいます。
これらの革新的な取り組みは、単に
建設プロセスの効率化を目指すものではなく、
建設業界全体の持続可能性と将来性を高めるための
極めて重要な動きです。
人手不足や労働時間規制という現代の課題に対し、
技術革新による解決策を模索し、実践することで
建設業界は新たな時代へと進化を遂げています。
今後も技術革新の動向に注目していきたいですね。