フランスで行われたパリ五輪では、
人工知能(AI)の存在感が増しています。
AIは放送分野で自動的に名シーンを探し出す
役割を果たす一方、SNSの監視などにも活用されていて
スポーツ業界全体に変革がもたらされています。
パリ五輪では最高位スポンサーでもある米国インテル社は、
事前にデータ収集・分析手法を身につけたAIで、
14競技でハイライト映像を自動で作成します。
映像データを競技の種目ごとに事前に学習しており、
人の目で場面を選び、編集する従来の工程に比べ、
効率的に名場面を抜き出せすことが可能です。
中国のアリババクラウドは、どの角度からでも観れる
リプレイ映像の制作技術を提供し、柔道を含む
21競技でその技術が用いられています。
オリンピック放送サービスは、
パリ五輪で1万1000時間以上のコンテンツを予定しており
これは前回の東京五輪から15%の増加です。
米国メディア企業であるNBCユニバーサルは
グーグルなどと提携しており、ルールや選手の解説などに
グーグルの生成AI「Gemini(ジェミニ)」を活用しています。
また、国際オリンピック委員会(IOC)は
「五輪AIアジェンダ」を通じて、
AI技術の積極的な取り込みを始めています。
これにより、AIは選手の練習や競技の審判、
映像制作、ファンとの交流に至るまで、
広範囲にわたるスポーツの各領域で利用されています。
IOCはSNSにおける選手への誹謗(ひぼう)中傷などを
AIで監視しています。
五輪に関連したSNSの投稿が約5億件になると見通し、
主要なSNSをAIを活用して35以上の言語で監視し、
悪質な投稿を事業運営者に通知することで、
選手をネットの誹謗中傷から守り、
本来の力を発揮できない事態を防ぎます。
AIの技術革新は練習だけでなく、試合の審判、
映像制作、放送、ファンとの交流まで広がっています。
このような「スポーツテック」は急成長を遂げており、
市場規模は前年の3倍近くに膨らみました。
この動きは、日本を含む多くの国にとって、
スポーツ産業の新たな発展可能性を示しています。
パリ五輪を舞台に、AIがスポーツの各領域で
どのように利用され、どのような新しい価値を
生み出すのかが注目されます。
AIのさらなる進化が、
選手たちの潜在能力を最大限に引き出し、
視聴者に新しい体験を提供することでしょう。
スポーツとAIの融合は、
今後も多くの可能性を秘めており、
私たちはその進化の一端を目の当たりにすることになります。
今回のパリ五輪は、
そのための重要な一歩となるのではないでしょうか?