
‟スター社員”はもう一人じゃない-博報堂が挑む、AIで受け継ぐトップ人材の思考...

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企業の競争力を高めるのは、結局のところ「人」である——
そう言われて久しいなか、その“人の知見”を組織に残す
新たな方法が注目を集めています。
広告業界大手・博報堂DYホールディングスでは、
クリエイティブの第一線で活躍するスター社員の思考や
ノウハウをAIに学習させた“分身社員”の開発が進んでいます。
きっかけは、TBWA HAKUHODOのチーフ・クリエイティブ・オフィサー
(CCO)である細田高広氏。
国内外で数々の受賞歴を持つこのトップクリエイターの発想法を
ベースに開発されたAI「ストラテジー・ブルーム・コンセプト」、
通称「細田AI」が社内導入されたのです。
このAIは、細田氏の著作や過去の企画思考を学習し、
インサイトの仮説やコンセプト案を自動生成することができます。
従来であれば営業・戦略・クリエイティブの各部門が
何度も会議を重ねていた作業が、1利用あたり約4時間短縮
されるようになりました。
半年で少なくとも4,000時間の業務削減を実現したとされており、
まさに“24時間働くスター社員の分身”が誕生した形です。
驚くべきは、AIが単なるテンプレート生成マシンにとどまっていない
ことです。
プロのひらめきや思考のクセまでも再現し、
「これは本人ならでは」と思わせるような提案が生まれることもしばしば。
実際に細田氏とチームを組んでいた社員からは、
「本人には聞きづらいようなことも、AIには気軽に相談できる」
といった声も聞かれています。
このAIの誕生は、暗黙知の共有が中心だったクリエイター職の
“ギルド文化”にも風穴を開けました。
若手が師匠の背中を見て学ぶという時代から、
AIを通じて思考の型を体系的に学べる環境が整いつつあります。
さらに興味深いのは、想定外の部門での活用です。
クリエイティブ部署向けに開発されたはずのこのAIを、
現在では営業部門の社員も積極的に活用しています。
提案のたたき台をAIに任せることで、
言葉の精度が高まり、社内外でのコミュニケーションの質が
大きく向上しているといいます。
博報堂では、今後も“スター社員AI”を増やしていく計画です。
2025年中にあと2人分のAI社員を開発し、
マーケティングやプロモーション領域でも導入を広げていく方針
とのことです。
AIが活躍する時代はもはや未来の話ではありません。
優れた個人の知恵をAIという形で組織に蓄積し、
再現性とスピードを両立させる——そんな新しい人材戦略が
企業の持続的な成長を支えていく時代に突入しています。
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