コロナ禍において急激に普及したテレワーク。
それにより家探しに求める基準も大きく変化しつつあります。
郊外への移住や2拠点生活などのライフスタイルに注目が集まる中、
「空き家バンク」を通じた売買が活況となり、
各自治体は移住者や関係人口を取り込もうと、
「空き家バンク」の活用強化に乗り出しています。
首都圏での例をいくつかご紹介します。
約8,000人が暮らす山あいの埼玉県横瀬町では、
自然豊かな環境や、池袋駅から特急で約70分という
アクセスの良さも後押しし、「ちちぶ空き家バンク」に登録された
町内の物件は2020年度に前年度比2倍の13件が売買・賃貸されたそうです。
掲載される土地建物の平均価格は500万円ほど、
土地面積が100坪を超える物件も多く、
リフォーム代を加えても都心部と比べて手ごろな価格帯となっています。
また、千葉県の最南端に位置する南房総市は、
温暖な気候や海沿いの景観が移住者の人気を集めています。
2020年度の空き家バンクの利用者登録は64件と前年度比で3.2倍。
特に8~9月は前年同期比で9倍と急増、
ウェブサイトのアクセス数も伸びたほか、
不動産仲介業者を通じた問い合わせも相次いだそうです。
同市は、リモートワークの普及で2拠点生活を始める人が増えた
ことに加え、
「都心まで1~2時間で出られる距離感も魅力的に映っているのでは」
との分析をしています。
こういった需要を背景に、定住に繋げようと、 同市では、
2020年10月から2021年2月にかけて中古住宅を取得した世帯に対して
補助金を出す制度を導入し、 首都圏から市内に転入する子育て世帯や
40歳未満の世帯に100万円の支給をうたったところ、多くの相談が
あったそうです。
東京都奥多摩町は2020年4月に「0円空き家バンク」を開始しました。
建物の老朽化で買い手が見つかりにくい物件を橋渡しする仕組みで、
これまでに3件が登録され、3件とも契約済みになりました。
空き家への関心が高まる一方で、課題となるのが
空き家物件をどう確保するかという問題です。
空き家件数自体は増加傾向で高止まりしているのですが、
相続された所有者が遠方に住むなどして自治体と所有者との
接点が少ないことや、 片付けに躊躇するケースがあり、
「空き家バンク」への登録につながらず、
供給が追いつかない状況とのこと。
前述の奥多摩町「0円空き家バンク」の相談件数は
3月18日時点で325件ですが、 物件の新規登録は半年以上ない状態に
なっているそうです。
このように課題はあるものの、不動産売買市場においては、
活性化の新たなる要因になりそうなトレンドですので、
今後も注目していきたいですね!