2022年の法改正で不動産関連の電子契約書が
全面解禁される中、マンション販売や賃貸にデジタル技術を
活用する動きが広がっています。
三井不動産は購入時に必要な約1000枚の書類を原則的に電子化し、
野村不動産は仲介業務に電子契約を導入。
デジタル化が遅れているとされていた不動産分野でも、
新型コロナウイルス禍もあって非対面の取り組みが進んでいます。
三井不動産レジデンシャルは、2022年夏をめどに、
販売する分譲マンションや戸建てについて、
購入時の手続きで交付する書類を原則的に電子化。
首都圏の物件から順次電子化し、
書類は専用サイトで閲覧できるようにします。
これまでは契約から入居までに約1000枚の関係書類を渡しており、
年360万枚の紙を削減できる見込み。
売買契約書の印紙代(購入者負担を含む)など年1億円以上の
コスト削減につなげるとのこと。
書類情報のシステム入力や照合作業が減り、
社員全体の契約業務時間も年3万時間短くなる見通しだそうです。
野村不動産は、住宅の販売業務で導入している電子契約を、
仲介にも広げます。
不動産仲介店舗で売買契約の手続きを電子化し、
約業務の効率化や書類保管業務の削減につなげる狙いです。
これまで顧客は複数の書類に署名や捺印が必要でしたが、
電子化で手間が軽減されます。
このほど東京都内の2店舗で導入し、2022年春までに
全国90店以上あるすべての仲介店舗への導入を目指すとのことです。
賃貸住宅でも取り組みが広がっています。
弁護士ドットコムは2021年8月、賃貸借契約の電子化サービスを開始。
電子署名サービス「クラウドサイン」を使って書面交付をなくして、
入居者の利便性を高めています。
このように各社が電子化に力を注ぐのは、宅地建物取引業法の
改正を含むデジタル改革関連法(2021年5月成立)が背景にあります。
2022年5月までに、重要事項説明や契約書類など不動産関連の
電子契約書が解禁される見込みで、業務効率化を図る好機と
捉えられています。
不動産販売をめぐっては、2021年4月、対面が義務付けられていた
重要事項の説明をネットでできるようになりました。
日鉄興和不動産は、2021年7月からオンラインでマンション販売を開始。
住宅ローンの事前審査もネット上で可能としました。
不動産取引は高額のため、契約時にトラブルが起きやすく、
対面販売や書面でのやりとりが重視されてきましたが、
デジタル技術の進展で信頼性が向上。
新型コロナ禍で非接触や非対面の顧客ニーズが高まり、
各社はオンライン取引の環境整備に動き始めています。
デジタル化が遅れているとされていた不動産分野ですが、
顧客ニーズの高まりもありデジタル技術を活用せざるを得なくなった
状況といえますが、作業時間やコストの大幅な圧縮や削減など、
プラス面も非常に多いので、今後も加速していくと思われます。
そんな中で、複数の店舗を抱える営業構造の見直しや
営業社員の再配置など、デジタルを取り入れた最適な業務構築が
課題になりそうです。