国土交通省は登記情報を持つ法務省やデジタル庁と連携して 「不動産ID確認システム(仮称)」を整備し、 今年の夏ごろから運用を始めると発表しました。 2023年度中に任意で選んだ全国440市区町村をシステムに接続し、 各地方自治体が開発規制やハザードマップといった公的データを ひもづけできる仕組みを検討しています。 不動産IDは2022年に導入された、17ケタの番号によって 戸建てやマンション、商業ビルを部屋単位で識別できるもので 物件ごとに原則1つのIDが配分されています。 利用者はシステムに住所や地番を入力して不動産IDを取得し、 このIDを使って各自治体が関連づけたデータを使用します。 参考資料:不動産IDのルール整備について(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001409034.pdf 不動産業者が物件を査定する際、 現状は建物の建築規制や電気・ガスの設備状況などを 複数の窓口で確認する必要があるため、これらデータを一度に入手 できれば、業務の効率化や中古物件の取引などが迅速になります。 物流サービスへの活用も期待されていて、 ドローンで大量の荷物を複数地点に配送する場合、IDをもとにした 地図情報で効率が良いルートを選べるようになったり、自動運転車 での配送にも生かせる見通しもあります。 自治体の住宅政策においては、世帯ごとの水道利用の有無などを把握し 空き家かどうかを素早く判断できるため、放置空き家の管理を強化し、 民間事業者の中古取引を仲介することが可能になります。 運用が想定されるのは、千代田区や港区といった東京都の17区や 札幌市、さいたま市、京都市、高松市など。 早期に1700ほどの全市区町村に広げる予定です。 政府は2023年夏にも公的機関による社会の基本データ 「ベース・レジストリ」にIDを指定する方針で、不動産分野における 「マイナンバー」並みの位置づけとなっています。 不動産IDの普及のカギを握るのは、 民間事業者が持つデータとの連携で、2024年1月から任意で 「レインズ(REINS)」にID情報を接続できるようにする予定。 官民が収集した物件情報や災害リスクを一元的に把握できる ようにすることで、まちづくりや不動産取引、物流などの 効率化がますます加速することに期待が高まります。