先日、不動産仲介を手掛けるLIFULLが開発した、
バーチャル空間内に再現したリアル都市を飛び回りながら
気になった建物を内見できるAndroidアプリ
「空飛ぶホームズくん」
が、デジタルコンテンツ技術をテーマにしたイベント
「デジタルコンテンツEXPO 2021」にて展示されて
話題になりました。
このアプリは、3Dの街を自在に飛び回りながら、
見つけた物件のバーチャル内見ができるVRサービス。
現在はプロトタイプの段階で、2022年春ごろの提供を
目指しているそうです。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2111/19/news130.html
このような仮想空間は、「メタバース」と呼ばれ、
昨今では各社の開発競争が熱を帯びてきており、
100兆円規模に膨らむと期待されるこの新市場には、
インターネットや人工知能(AI)を制した巨大テック企業の
新たな主戦場になっています。
メタバースは「メタ(高次元の)」と「ユニバース(宇宙)」
を組み合わせた造語。
自分好みのアバター(分身)で交流したり、
音楽ライブを鑑賞したりする新しい消費空間や、
遠く離れた従業員が共同作業するバーチャルオフィスにもなるもので、
ゴーグル型の仮想現実(VR)機器やスマートフォンで利用をします。
メタバースを一躍有名にしたのは、
「フェイスブックはメタバース企業になる」と宣言し、
社名そのものをフェイスブックから「メタ」に変更した、
マーク・ザッカーバーグCEOによる「メタバース宣言」。
2021年だけでメタバースに100億ドル(約1兆1000億円)を投資し、
欧州では5年間で1万人を採用して事業を推進すると発表しました。
また、マイクロソフトはチャットアプリ「チームズ」に
仮想空間で会議などができる機能を2022年に加えると発表。
「メタバースは1990年代初期のネットとよく似ている」と
サティア・ナデラCEOも期待をかけているそうです。
前述の「空飛ぶホームズくん」は、バーチャル空間内に再現した
リアル都市でしたが、 メタバースの一つ「ディセントラランド」は
購入した仮想の「土地」に建物を自由に建てられ、 既に多くの企業が
美術館やカジノを運営しています。
アバター服のデザイナーやデジタル建築の設計士など
新しい職業も生まれており、
「将来はメタバースから若者のトレンドが生まれるかもしれない」
ともいわれています。
仮想空間上の「土地」の急激な値上がりも、熱狂を象徴しています。
今年6月には、前述のディセントラランドの土地が91万ドル
(約1.1億円)で取引され、話題を呼びました。
メタバース経済圏には、ブロックチェーン(分散型台帳)も不可欠です。
作者や権利の移転情報を記録してコンテンツを唯一無二だと証明する
「NFT(非代替性トークン)」なら、 デジタルアイテムの流通量を
制限したり、取引履歴を容易に残したりすることが可能になります。
企業が続々と進出し、投資を呼び込むメタバースには、
大きな期待がある反面、 現行の法律が、
仮想世界を想定していないこともあり、
商取引に関する取り決めをどうしていくのか?
などの課題も多くありますので、
今後の動向を常にチェックしていきたいですね。
まずは、VR対応の第一歩として、
物件の写真をTHETAで360°撮影するなど、
簡単に始められることから、取り組んでみるのはいかがでしょうか?