まるで生身の人間を相手にしているようなリアルな会話文を生成する ことができる「ChatGPT」が連日ニュースになっています。 今回は、「ChatGPT」でできることや、活用法について解説していきます。 「ChatGPT」は、アメリカのベンチャー企業・OpenAIが開発・公開した 人工知能(AI)で、質問に答えて自然な言葉で文章を生成できることで 注目されています。 高い普及度を誇るサービスでも、100万人ユーザー獲得にはリリースから 数ヶ月を要するのが普通ですが、2022年11月にリリースされた「ChatGPT」は、 わずか5日という異次元のスピードでそれを達成。 さらに、2023年2月7日にはリリースから2ヶ月あまりで、全世界ユーザーが 1億人を突破しました。 これは、これまで段階的にOpenAI に投資を行ってきたマイクロソフト社が、 100億ドル(約1.3兆円)の巨額投資を行うと2023年1月23日に発表したことも 大きく影響しています。 参考記事: https://www.sbbit.jp/article/cont1/105732 https://news.microsoft.com/ja-jp/2023/01/25/230125-microsoftandopenaiextendpartnership/ ▼「ChatGPT」ができること 「ChatGPT」では、テキストの要約、多種言語への翻訳など様々なタスクを 驚くべき完成度で遂行できます。 その中でもやはり「対話」のスキルが最も優れているといえます。 「ChatGPT」とチャット形式で会話をすることで、 これまで検索エンジンで行ってきたような調べものなどを、対話形式で行える ので便利です。 この対話型AIの導入で検索は「スピード」と「範囲」の側面から大きく変わると 言われています。 例えば「2泊3日の京都旅行」について調べる場合、 これまでは、交通手段、宿泊先、訪問先、スケジュールなどを別々に検索する 必要がありましたが、 「2泊3日の京都旅行に行くんだけどスケジュールを立てて」と問いかければ、 モデルプランが提示されるなど、一気に広範囲な回答が展開されます。 ※ただしWeb上にある情報から回答文を作成するため、 ファクトチェック(最新の時刻表や店舗が閉店したなどの)はかかせないようです。 また「〇〇を子どもでもわかるように説明して」 と聞けばわかりやすい説明をしてくれたり、 「〇〇が上手くなりたいんだけど良い方法は?」 などの相談にも乗ってくれます。 人間関係の悩みや日常での悩みなど、人に相談しにくいことを、 カウンセラーがわりに相談するのにも使えるかもしれませんね。 返事に困るメッセージが来た時などに、どう答えたらいいかのアドバイスも してくれます。 他にも、AIらしく表計算やプログラムコードの生成などはお手のもの。 またクリエイティブな作業である小説や脚本を書いたり、クイズの問題作成なども 可能です。 ※あくまで、web上にテキストの情報があるものから学習して問いに答えてくれる、 もしくは創り出してくれるというものなので、限界はありますが。 参考記事: ChatGPT使い方総まとめ https://qiita.com/sakasegawa/items/82069c97a1ee011c2d1e 「ChatGPT」にSF小説を書いてもらったら恐ろしいくらい普通に面白い作品ができてしまった https://note.com/kajiken0630/n/nb85a500530ed ChatGPTの日本語力とは?文学漫才に挑戦 https://www.tanoshimiworks.com/chatgpt-japanese/ ▼「ChatGPT」の仕組み 前述のとおり、「ChatGPT」はweb上にあるテキストデータを分析して、 そこから質問に対する解答を作成する、というのが大枠の仕組みです。 例えるなら、テストに出てくる問題(=私達が与えるタスク)に、 (webという膨大な)教科書を見ながら解答するという感じでしょうか。 せっかくなので、「ChatGPT」に「ChatGPTとは何?」という質問をすると、 下記の回答となりました。 「ChatGPTは、人間のテキストを学習し、それに基づいて新しいテキストを生成する 人工知能モデルです。 それは、大量のテキストデータを使用して学習し、それに基づいて 新しい文章を生成するために、深層学習のアルゴリズムを使用します。 具体的には、ChatGPTは、『Transformer』と呼ばれる技術を使用して、 言語のパターンを学習します。 これは、言語の中で単語がどのように相互関係にあるかを理解するために、 大量のテキストデータを分析します。 そして、これらの学習結果を使用して、新しい文章を生成します。」 ちなみにアメリカの大学で行われた実験では、「ChatGPT」はMBA(経営学修士課程) の最終試験に合格し、一般的に報酬の高い知識労働者のスキル、特にアナリスト、 マネージャー、コンサルタントなど、MBA取得者が就く職種のスキルの一部を自動化する 驚くべき能力を持っていると評価されました。 参考記事: ChatGPTがMBA・経営学修士課程の最終試験に合格したという報告 https://gigazine.net/news/20230124-chatgpt-clear-mba/ ChatGPTがMBAの試験に合格し、優れた試験問題を作る事すら可能な能力を持っている事が判明 https://texal.jp/2023/01/25/it-turns-out-that-chatgpt-has-the-ability-to-pass-the-mba-exam-and-even-produce-excellent-exam-questions/ ▼「ChatGPT」の使用方法 「ChatGPT」は、メールアドレスや、Googleアカウントかマイクロソフトアカウントを 登録することで無料で使用可能です。 公式サイトは英語表記ですが、ブラウザの翻訳機能を使って日本語表示にすれば より楽に操作できます。 参考記事:ChatGPT とは アカウント作成方法からChatGPTの便利な使い方まで徹底解説! すぐに使える活用事例集も紹介! https://aiacademy.jp/media/?p=3546 また、マイクロソフト社が提供するWebブラウザBingに「ChatGPT」を搭載する ことを発表したり、LINEで使える「チャットくん」など、ブラウザやアプリでも 手軽に使用できるようになっています。 この流れは今後も広がっていき、多数のアプリが開発・リリースされると予想されます。 参考記事: 米MS、Bingに対話AI搭載 「検索の新時代」へ https://www.afpbb.com/articles/-/3450390 MSのブラウザ bingに導入 bing スマホでも使える https://mainichi.jp/articles/20230208/k00/00m/020/020000c LINE「チャットくん」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000027865.html ChatGPT、アプリに組み込みやすく 開発会社がAPI公開 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020A20S3A300C2000000/ ▼AIのビジネス活用展望 こうした情勢のなか、アメリカ半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは 大学での講演で「ChatGPTはAIがiPhone(ほど世界を変える製品)になった瞬間だ」と 発言したと報じられています。 長年研究されてきた技術が、たった数日のうちに何千万人に届き世界中の人が 手にするのは、iPhone(およびそれ以降のスマーフォン)のときと同じ現象といえる ということです。 参考記事: ChatGPTによって「AIがiPhoneになった」 – NVIDIAジェンスン・フアンCEO https://gadget.phileweb.com/post-30318/ 現在検索エンジンの世界シェアで9割以上を誇るGoogle幹部は「ChatGPT」の登場を見て、 社内に「Code: red ( 非常事態)」を宣言したとの報道があり、 人工知能(AI)を用いた「Bard」という名のチャットボットを、 「今後数週間のうちに展開する」と2023年2月6日(米国時間)に発表しました。 参考記事: ChatGPTに対抗、グーグルが会話型AI「Bard」を投入することの意味 https://wired.jp/article/meet-bard-googles-answer-to-chatgpt/ このような超ハイペースのAI開発競争を見ていると、 既存の価値観が大きく変化する真っ只中にいる感覚になります。 一方で、誤った情報がAIによって膨大に再生産されてしまったり、 差別的な記事が生成されることや、教育現場における学力低下、機密情報の漏洩、 軍事利用への危険性など、懸念と課題も多く存在するのも事実。 実際、国内でも情報流出への懸念から、ソフトバンクなどは機密情報などの 入力をやめるよう社員に通知。 ただ、AIの活用は企業の競争力向上に欠かせないため、 パナソニックホールディングス傘下の企業は対策を取った上で全社員に使えるように するなど、将来の活用に向け各社がルール作りを急いでいる状況です。 テクノロジーの進化と法規制は密接な関係を持っていて、 AIだけでなく、自動運転、暗号通貨、ドローンなどさまざまテクノロジーにも 同じ問題が起こりえますが、それぞれの価値を壊すことなく、合理的な規制が 進んでいくことで、進化のスピードが遅れないでほしいと思います。 最後に、直近(どちらも3月14日)に発表された話題を2つご紹介します。 Googleは、AIを活用したライティング機能を「Gmail」と「Googleドキュメント」 においてテストしていくと発表。 メールの自動返信、要約、優先順位付けや、議事録作成、校正、執筆、書き直し プレゼン画像や音楽まで生成が可能です。 一方、OpenAIは「GPT-4」を発表。テキストでのやりとりだけでなく、 ユーザーから画像を受け取り、適切な情報も返せるようになったとのことで、 司法試験の模擬問題を解かせたところ、現在の「ChatGPT」が採用している GPT-3.5では、受験者の下位10%ほどのスコアしか取れないのに対し、 GPT-4では上位10%のスコアで合格するとしています。 参考記事: AI と Google Workspace の新しい時代 https://workspace.google.com/blog/ja/product-announcements/generative-ai 「GPT-4」発表 日本語でもChatGPT英語版より高性能、司法試験で上位10%、 「この画像何が面白いの?」にも回答 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2303/15/news092.html?fbclid=IwAR38Irh9drkwcXCw0_CO849ga24AO70-HBLpi3IfLr1DDDZoYWUyPl8phgk